賃金のデジタル支払い、解禁の方針

賃金のデジタル支払い、解禁の方針

厚生労働省は、10月26日、労働政策審議会労働条件分科会において、賃金のデジタル支払い(賃金移動業者の口座への賃金支払い)を可能とする労働基準法施行規則の一部改正省令案の要綱等を示しました。キャッシュレス決済が普及する中、消費の利便性の向上や増加する外国人への対応などのニーズも一定程度見られることから、一定の要件のもとに、賃金のデジタル支払いを可能とすることとしています。この制度の施行は、2023年4月1日の予定です。

給与のデジタル払いとは?

給与のデジタル払いとは、企業が銀行の口座を介さず、スマートフォンの決済アプリや電子マネーを利用して振り込むことができる制度のことです。これまで給与は通貨による支払いを原則としていましたが、デジタル払いを解禁する方針です。

なぜ給与のデジタル払いを推進しようとしているのか

理由として以下の4つが挙げられます。

①「新たな生活様式」に対応した規制改革推進の一環としての位置づけ

② 外国人労働者の受け入れ拡充に向けた施策の一環

③ キャッシュレス決済の推進、およびフィンテックを活用した、金融サービス提供の拡大、国際競争力の強化

④ 厚生労働省の調査で、約4割の利用者(※)がデジタル払いを「検討する」と回答し、一定のニーズがあると判断 

 ※厚生労働省「資金移動業者の口座への賃金支払について」より

給与のデジタル払いを推進することで、外国人労働者の受け入れや金融サービス市場の拡大など複合的な課題解消・成長促進が図れます。

給与デジタル払いを導入による企業・従業員へのメリット

主に下記の4つが挙げられます。

①銀行口座を持たない従業員へ給与デジタル払いでの支給が可能

②従業員への福利厚生の一環

③振込手数料の削減

④社会の変化へ対応している企業というイメージの向上

給与のデジタル払いが選択肢にあると、企業の福利厚生の一環とすることが可能です。QRコード決済や電子マネー決済が促進されると、キャッシュバックやポイント還元といったメリットもあり、一定のニーズもあります。結果として、採用面や従業員のエンゲージメントの観点でプラスに働く期待ができます。

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