カスタマーハラスメントから従業員を守る

カスタマーハラスメントから従業員を守る

カスタマーハラスメント経験者が近年増えています

2020年に厚生労働省が実施した「職場のハラスメント」に関する企業調査では、過去3年間に勤務先で「カスタマーハラスメント」を一度以上経験した人の割合が、セクハラよりも回答割合が高いという結果が出ました。カスタマーハラスメントを受けた従業員は、業務のパフォーマンス低下を招くだけでなく、健康不良に陥る可能性も出てきます。企業が従業員をカスタマーハラスメントから守るには、どのようにしたらいいのでしょうか。

カスタマーハラスメントとは

「カスタマーハラスメント」とは、顧客等からの著しい迷惑行為のことです。顧客や取引先からの不当なクレームや、クレームの言動に妥当性がなかったりするために、労働者の就業環境が害されるものを指します。

しかし、顧客等等からのクレームのすべてがカスタマーハラスメントに該当するわけではありません。企業の提供する商品やサービスに瑕疵や過失があれば、企業は誠意を持って対応すべきですし、顧客からの言動に悪質性がなく、社会一般的に受け入れられるものであれば、カスタマーハラスメントには該当しません。

企業が提供する商品やサービスに瑕疵や過失がない状況で、その商品やサービスの内容と関係がない、もしくは妥当性のないクレームや要求を主張される場合は、カスタマーハラスメントに該当する可能性があります。加えて、商品やサービスに瑕疵や過失があったとしても、著しい迷惑行為(暴行、脅迫、ひどい暴言、著しく不当な要求等)があった場合、カスタマーハラスメントに該当する可能性があります。

企業が取り組むべきことは

2022年4月に「パワハラ防止法」が改正されて以降、パワハラにおいては中小企業にも雇用管理措置が義務化されていますが、カスタマーハラスメントについては、いまだそうした取り組みの強制はありません。

まず事業主がカスタマーハラスメント対策の基本方針や姿勢を示し、従業員がカスタマーハラスメントを受けた際の相談対応者を決めて、それを周知することが望ましいです。また、対応方針や対応フローを前もって策定し、従業員が落ち着いて対応できるように教育しておきましょう。

具体的には、まず従業員から相談があったときに、カスタマーハラスメントか否かを判断するために、顧客、従業員等からの情報を基に、その行為が事実かどうかを確かな証言・証拠に基づいて確認しましょう。確認した事実に基づき、商品に瑕疵があったりサービスに過失がある場合は謝罪し、商品の交換や返金に応じます。瑕疵や過失がない場合は応じません。重要なのは従業員1人に対応させず、複数名で組織的に対応することです。また、現場での対応時、電話での対応時、顧客訪問時の対応時…と各シーンごとに留意するポイントをまとめておくといいでしょう。

カスタマーハラスメント対策を積極的に取り組むことによって、複数のメリットが確認されています。対応方法を明示することにより従業員が働きやすくなった、会社にとって好ましくない客が来にくくなった、などです。人材の確保が難しい中、離職者を減らすことに繋がったという意見もあります。対策に取り組む意義は大きいと考えられます。

出典元:厚生労働省「カスタマーハラスメント対策に取り組みましょう!」(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000899376.pdf

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